. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 全体会議 挨拶 中国側:駐日中国大使 王 毅氏 2006.8.3

全体会議 挨拶 中国側:駐日中国大使 王 毅氏 2006.8.3

日中関係に問われる選択は「平和共存、世代間にわたる友好、互恵協力、共同発展」

wang1 友人の皆様、こんにちは。
 本日、「東京-北京フォーラム」第2回会議がここに開幕するに当たり、中国大使館を代表致しまして謹んでお祝い申し上げます。工藤先生をはじめとする日本 の友人の皆様が当フォーラムのために払われた御心血と御苦労に対し、敬意を表しますとともに、趙啓正先生をはじめとする中国側代表団の皆さんに歓迎の意を 表します。

 中日関係の改善を求める声は、既に両国国民双方からあがっております。今日のような平和と発展の時代において、両国が一衣帯水の隣国として、互い の関係に対処するには、一つの選択肢しかありません。それは即ち、「平和共存、世代間にわたる友好、互恵協力、共同発展」です。これは、中国政府の揺るぎ ない政策であり、両国国民の利益にも合致し、私たち双方が共に努力すべき目標となるものです。如何にして、民意と時代の発展の流れに従い、両国関係が速や かに現在の難しい局面から脱却し、善隣的相互信頼協力の新しい局面を切り開くかは、私たちが直面している大きな課題であります。私たちは歴史や未来、そし て国民に対して責任のある態度をもって、真剣に考えて行かねばなりません。ぜひ、ご出席の友人の皆様におかれましても、率直に対話し、コンセンサスを築い ていくことを期待しております。ここで私は、以下の四点について申しあげ、皆様のご参考になればと思います。

 第一に、相互理解を深めること。両国国民が相互理解を深めていくことは、日中関係を改善するための重要な基礎となります。現在、両国はともに重要 な変革期にあり、私たちはこれまでの伝統的な思考方式から抜け出して、客観的で弁証的かつ発展的視点からそれぞれの変化を捉えて行かなければなりません。 改革開放以来、中国は歴史的進歩を遂げました。もっとも、中国はまだ解決しなければならない多くの問題を抱えております。しかし、私どもは既に中国の国情 に見合った発展の道を見出しました。中国は今後、経済体制の改革を深めていくと同時に、着実に政治体制改革を推進していきます。即ち、人類の普遍的価値を 尊重していくと同時に、中国の特色ある民主政治を積極的に築き上げ、これからも揺るぎなく平和発展の道を邁進していきます。日本も今、様々な調整や改革を行っています。皆さんの隣国として、私たちは日本が戦後選んだ平和発展および60年で成し遂げた大きな進歩に賞賛し、日本が引き続き平和発展の方向を堅持していくことを信じ且つ期待しております。相互理解を深める最も良い方法は、直接向き合って交流することです。現在、双方とも人的往来、とりわけ青少年の交流を非常に重視しています。このことは必ずや、両国国民の相互理解を促進し、ひいては両国関係の改善のための重要な原動力となるでしょう。

 第二に、政治的困難を乗り越えること。中日間の政治関係は近年来、皆様ご承知の理由により停滞しておりますが、これは我々が目にしたくないものです。こうした状況が一日も早く改められ、両国関係が再び正常な発展の軌道に戻るよう望んでおります。中国と日本の間には、二千年以上の交流史があり、これは他の如何なる二国間関係にも見られないものです。悠久の歴史は、私たちに有益な経験をもた らしたのみでなく、深く汲み取るべき教訓も与えてくれました。1998年に中日両国が発表した共同宣言には「過去を直視し歴史を正しく認識することが、日 中関係を発展させる重要な基礎である」と明記されております。歴史を正しく認識することは、私たちが真に未来に向けて、長期的に安定した二国間関係を構築 するきっかけと原動力にもなるということを強く申しあげたいと思います。もちろん当面存在する問題にどのように善処するかは、最終的に日本国民自らが判断 を下すものです。中国側は日本側と共に歩み寄って日本側の賢明な判断に善意をもって応えていく所存です。

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 第三に、相互信頼を再構築すること。国と国の付き合いでは、人と人との関係と同様、互いに信頼を築き、それを大切にする必要があります。1972 年に中日両国が国交正常化を実現した時に、周恩来総理は田中角栄首相に、「言必ず信あり、行必ず果あり」という古い言葉を贈りました。それに対し田中先生 は、「信は万事の本」という書をもって返しました。信用を尊び、約束をきちんと守ることは、私たち東洋民族の美徳であります。中日両国間においては既に中 日共同声明など三つの政治的文書を発表し、その中で双方が守るべき原則を規定し、私たちが努力すべき目標を明確に示しております。今、私たちは、両国の古 い世代の政治家たちが行った厳粛な約束を今一度確認し合い、両国の新しい世代の指導者の相互信頼を再構築していこうではありませんか。

 第四は、互恵及びwin-winの関係を目指すこと。中国と日本は共にアジアの大国であり、重要な影響力を持つ国同士であります。両国関係の行方 は遥かに二国間関係の範囲を越え、本地域ひいては世界の平和・発展・協力に重要な意義を持っております。従いまして、良好かつ健全で活力に満ちた中日関係 は、両国国民の根本的利益に合致するのみならず、アジアや世界の切なる期待でもあります。私たちは日本が地域と国際的な場において、更に大きく、積極的な 役割を果たすことを歓迎致します。双方が対等の基礎の上に立って、お互いのメリットを発揮して補い合い、互恵及びwin-winの関係を実現することは、 もちろん可能なことなのです。私たちは関係改善および信頼再構築を踏まえて、より協力的で調和の取れた開かれたアジアを共に築き上げ、さらにアジアの振興 と人類の進歩のために、新たな貢献をしていこうではありませんか。

 最後に、当フォーラムのご成功をお祈りいたします。ご清聴ありがとうございました。

2006年08月09日 19:00

カテゴリ: 2006年 第2回