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政治対話テーマ:新しい日中関係に問われる政治の責任

7月2日午後に開催された分科会「政治対話」では、日中合わせて9名による議論が行われました。日本側は、加藤紘一氏(元内閣官房長官、日中友好協会会長)、仙谷由人氏(元内閣官房長官、民主党代表代行)、中谷元氏(衆議院議員) 、藤井裕久氏(衆議院議員)が、中国側は、趙啓正氏(全国政治協商会議外事委員会主任)、葉小文氏(中央社会主文学院党組織書記)、陳健氏(元中国駐日本国特命全権大使)が参加し、司会は松本健一氏(元内閣官房参与)と呉寄南氏(上海国際問題研究所日本研究室主任)が務めました。 

 【前半】

松本健一(元内閣官房参与):最初に1時間半で時間を取りますので、最初に10分弱ずつお話を伺います。日中国交回復40周年を迎えて、これから日本と中国が今後政治的にどう役割を果たしていったらいいのか、についてディスカッションを行います。日本側と中国側で交互にやっていきます。

まず、仙谷由人先生は衆議院議員で、前の官房長官、今は民主党政策調査会長代行であります。次に、藤井裕久先生です。衆議院議員で前の財務大臣であります。続いて自民党政調会長代理で、元防衛庁長官の中谷元先生です。それから、遅れて到着しますが、元外務大臣で、官房長官もやられていた加藤紘一先生が来られます。そういった方々が集まっています。


120702 s o王:みなさんこんにちは。私は中国外交学院の教授の王帆です。司会として参加できて大変光栄でうれしく思います。日本側の参加者は非常に重量級のゲストばかりですし、中国側もまさにそうです。国内外で大変影響力のある、学術的にも、教育的にも政府の役職にもついています。パブリックディプロマシーで実践・研究をやっております。

まず、趙先生です。みなさん大変よくご存じの方です。外字委員会主任をお務めです。葉先生は大使です。陳先生は国連協会の会長です。では松本先生お願いします。


松本:ちょうど40年前が日中国交回復の年であり、今年は40周年です。これから両国が果たしていく政治的な役割を話していきたいと思います。また、尖閣の問題を扱ってもいいと思います。1年に一度こういう機会を設けるだけではなく、ワーキングチームを設置していけばいいのではないか、という案も現在出ております。仙谷先生いかがでしょうか。

120702 c engaku仙谷由人(元内閣官房長官、民主党代表代行):最初にご指名をいただきました。私は、2年前の今頃、官房長官の仕事が始まりました。そうして秋になりまして、漁船問題があり、その頃から、現実的に漁船の船長の逮捕とそれにまつわる中国当局のある種の政治的、あるいは、日本の社員が拘束されるようなこと、レアアースのことなど、いろんな問題に広がったときに、中国の各層の方と話し合いをして、どういう結末にするのか・そういう経験がございましたので、それらを加味しながら、雑感めいたことをお話しさせていただきます。表題にありますような、日中関係をどのようなものとして作ってくのか、日本の政治レベルで中国をどのように位置づけるのか、日本の政治家がどのような心構えでやっていくのか、こういうことに繋がってくるのだろうな、と思います。

今年は日中友好40年ということがよく言われます。司会の松本さんからも40年の総括ということが大変だ、重要だ、ということを問題として提起されているわけですが、言論NPOの世論調査にもあります通り、大変深化していく、日本人と中国人のある種の経緯が薄れ、嫌悪感が広がってきているのはどういうことなのか、にもつながります。

この30年間を総括しますと、貿易は300倍、人的交流は500倍になっております。中国のGDPは100倍以上になったのではないでしょうか。この間、友好回復としてODAが3兆5000億円でして、このODAという新しい取り組みは、継続案件は若干残っておりますが、新しく借款を供与するということは2007年に終わっております。私は、ODAが中国の経済発展に少しでも寄与したと考えております。恩着せがましいというわけではありませんが、改めて寄与したことを強調したいと思います。ただし、中国側としては的確に返済がなされているということも強調しなければなりません。1兆円はきちっと返却がなされています。日本人の専門家8000人が中国に渡り、この関係もWin-Winの関係になっているのは疑う余地がありません。アジア各地域と、日中韓、ASEANで見ても、アジアサプライチェーンネットワークが縦横無尽に構築されていることに気が付きます。この重層的なサプライチェーンが日本の成長、アジア、中国の成長、Win-Winになっている。課題は大変多いが、中国のGDP総額が日本を抜くという事態があり、日本人の中には、このことを快く思っていないが、中国が大国として振る舞うには、世界的にはコモンセンスがなく、突き破ろうとおもっている日本人も大変多くいます。ここに中国の予測から外れた行動と、IT化、ネットの持つよう多様性、拡散傾向が両国に多様な意見が噴出するという事態があり、政治の立場からインテグレートするのが難しい。漁船船長逮捕にまつわる両国の多様な意見噴出をどのように統合していくのか。統合して、両国の関係を、緊張感はあるけど戦略的互恵関係の中身をどう作っていくのか、隣国同士、民族同士、この折り合いがないと、もう一段高みの関係は作れないでしょう。

松本:仙谷さんはちょうど、漁船衝突事件の時に官房長官でした。その事件をふまえて、後に内閣官房参与に就任したという経歴があります。まずは中国側にバトンを渡します。

王:日本側の発言、感謝申しあげます。中日関係に存在する問題、関係を充実すべきとの話もありました。関係は複雑なので、これからも調節していくべきです。今後、どうやって深く充実させていくべきか。ともに助け合って船に乗っていく、そういう話をします。

120702 s cyo趙啓正(全国政治協商会議外事委員会主任)私は仙谷先生を踏まえて、発言内容は具体的でした。双方が必ずしも一致してない。率直に話せなければ意味はありません。率直な話が効果を生むと思います。何を考えているのか、少なくとも解決にはなる。ODAの話がありました。中国側はODAに関する感謝が足りないという話題がありました。15年前からそういう問題はありました。中国の新聞は中国向けで、上海市の副市長の時も、ODAで1億ドル、空港の設計に対して日本の支援がありましたが、なかなか感謝を表しはしなかった。これらは覚えていなければなりません。中日間の政府間のルートも難しかった。改善したいという人は多く、自分もそういう思いで中国側の一員として参加した。パブリックディプロマシーを実践した。つまり公共外交。民間と民間および政府と政府間で解決できるのはほんの一部で、これらを混合させた形で問題を解決していく。このフォーラムはますます重要になってきている。民間の好感度の印象は下がり、失望している。今後はこういう機会を続けていき、関係を改善させなければなりません。福田元首相が戦略的互恵関係に関する宣言、互いに強力なパートナー、脅威を作らない、長期的な関係は双方にとって唯一の選択肢です。互いに不満はあるものの、これは解決できていない。先にまず、お互いのために中国が中日復興をやっていこう。中日関係は1992年、よい時期でありました。その時は、天皇皇后が中国を訪問し、上海を訪れました。私は副市長として日程の調整をしておりました。夜歓迎晩さん会が開かれ、南京路、川沿いの道を案内しました。上海のホテルも上海蟹を用意しました、お口に合わなかったみたいでしたが、それによって心が通じた。晩餐会側の散歩でも、訪中の中で一番楽しかったと天皇が言いました。その10年後、反日デモが行われました。中国側は反日ではなく、靖国参拝への不満であると。しかし、日本側は反日といっている。表現が違う。5万人という説もある。北京にいて、状況を把握しました。中日関係は悪くしようと思えば簡単に悪くできる。民間的な問題についてオーバーアクションはよくなく、微妙な関係は大局を見据え、落ち着いて、順番を考えながら対処すべきです。

王:素晴らしいお話ありがとうございました。公共外交、民間外交、ソフトパワーの重要性についてのお話しでした。冷静な対応が必要だと。中日双方の人たちはお互いのために、有効な仕事をしている。永久に隣国であり、友好でないということは不可能であると思います。では、マイクをお返しします。

松本:趙先生と私はこの東京-北京フォーラムの古参ですね。そういう年月を繰り返すと話が通じ合うとも思います。藤井先生お願いします。

120702 s fujii藤井裕久(衆議院議員):一番年寄りですかね。40年前の国交樹立時の官房長官の秘書官をやっておりました。日本が中国大陸を侵略しました。これは間違いない。議論の中では厳しいものでしたが、結果としては非常に暖かいものとなりました。25日のパーティーで周首相が「中国で悪いことをやった日本人が悪いのではなく、日本にいた軍国主義者が悪い」と。文革の間にそういうことを話すことがどれほど大変なことか。周先生は20世紀最大の政治家である。領土問題が出たが、鄧小平先生も次の世代に任せましょう、と言った。これが生活の知恵だと。尖閣を決着させようという声に対して、先生たちの声に従うべきと言いました。開場はこれに恭順。領土問題はないけど、外交問題はある。決着をつけるということは武力闘争に発展しかねない。しかもそのことが先鋭化すると、各々の国に辺境のナショナリストが出てくる。健全なナショナリストは必要だが、偏狂なナショナリストは国を滅ぼし、世界を滅ぼす。領土問題はそのように考えております。日本の政治家はそういう問題に対してどう対処していくべきか。仙谷先生と日本の近現代史の調査会をやってきました。日本がこれまでどのような道を歩んできたのか、これを正確に伝えていかなければこのような問題は解決しない。教え方が悪いのか、若い議員は日本がどう歩んできたのかを知らない。正しい歴史館を若い議員に教えていかなければならない。中国1915年大家二十一か条要求が大一歩、という前提。正しい認識をしないと偏狂なナショナリストが出てくる。リトアニアに行ってきたのですが、ヨーロッパにはネオナチが10%くらいいます。これは怖い。ある日、そういう人たちが増える。政治の大事な役割は偏狂ナショナリストを減らす。さもないと関係が壊れかねない。中国も日本も1945年以降伸びてきた。東京オリンピック、大阪万博、北京五輪、上海万博。40年間があるが、どこも同じで発展してきた。日本は中国にGDPで負けた。しかし、負けたという表現はおかしくて、それは当たり前のこと。各々が伸びることが大事なのです。日本がヨーロッパのGDPを追い抜いたときも偉そうにはしなかった。それより、生活や社会保障の一体化とか、人々は幸せになった。中国が日本を凌駕したのはうれしいこと。中国の一人ひとりが幸せになることを祈っている。そうなると、民間の交流が一番大事になってくる。政府間の交流は国益がちらつく。経済も大事だが、文化交流やスポーツ交流などの民間交流が大事になってきます。あえて言うと、ドルと円の直接交換ができるようになり、東京市場でも上海市場でもいいスタートを切っています。円と元の直接交流も非常に大事で、国債を互いに持つのも、情報交換的な視点化ら非常に大事になってくると思います。

松本:藤井さんの話で出てきた、歴史を検討する研究会は日本の侵略政策は1915年に二十一か条の要求から始まっているという認識です。第2回の靖国問題沸騰時、歴史認識の部会は非公開でした。この考えはここでも驚かれました。五輪開催の44年差は何かという疑問。近代国家の始まりが44年の差がある。1868が近代日本の始まり。1911辛亥革命が中華民国という近代国家の始まりで、政治対話が公開できるのは進歩かなと思います。

王:先程の藤井先生の話ですが、若者たちに正しく歴史を伝える。経済規模を追いかけてばかりではだめだということです。細かい管理面ではまだまだなので、これからも先進国から学ぼうと思っています。

120702 s y葉小文(中央社会主文学院党組織書記):葉です。日本側の委員の阿南先生。日本とアメリカを見た場合、色々な問題があるが、価値観が同じだからすぐに解決できる。日本と中国は価値観が異なり、不信感があります。しかし、中国は市場経済を進め、価値観は進んだはずなのに、なぜ関係は改善しないのか。これを考えてきました。本質は価値観の対立だけではなく、中国の急速な発展があると思う。それらが不信感を生んでいる。外国にも中国というものを正しく見てほしい。政治エリートが自らの方法・偏見を、一旦横においてみる。文化交流をもっとすべき。これによって政治エリートたちの精神的な安定にもつながります。長期的に政治的な信頼感を深められる。行政に関する間違った判断を避けられる。この2つができれば関係はうまくいきます。誤解を広げずに恨みを大きくせずにものごとを悪くしない必要がある。面倒を起こすのは偏狂なナショナリズムの精神。極端な考え方を排除すること。この主張は簡単に出てくる。平和と発展が今の主流。

ここ100年近くは西側の自らを中心とする考え方が、民族対立・思想対立を生んでいる。対立がエスカレートするが、これは自己中心の考え方であり、極端な考え方です。極端主義を生みやすくなる。先進国は失業率上昇、金融危機があり、国民的な感情も脆弱になっている。理性的ではない国民の行動が起きやすくなる。政治家は表集めのために極端主義に流れやすく、感情的な選択をし、災難を生み出す。排他的な考え方、占領的な考え方、それらがエスカレートするとテロリズムにつながります。それらが増徴していることを目の当たりにしています。藤井先生が近現代史を研究していますが、軍国主義に駆り立てられた若者たちが国を侵略戦争へと巻き込んでいった。その日本を手本にすべきです。侵略主義は早めに排除すべきで、政治エリートが理性的な判断を呼びかけても、恨みを長く持ち続ける人たちがいます。

王:考え深い、極端主義、右翼についての話がありました。

松本:二・二六事件、北一輝についてのことは研究なので、反論したいところです。北一輝はファシストと呼ばれますが、辛亥革命を参考に国民の軍隊を作ろうとしました。これが私の考えです。それでは中谷さん、お願いします。

120702 s nakatani中谷元(衆議院議員):こんにちは、自民党の中谷です。一番若手です。54歳、昭和32年生まれであります。40年で人も街並みも変わりました。問題は戦争を知らない新しい世代が主役になってきたときに正しい歴史を作れるか。昔は中国の若者が反感し、今は日本の若者が反感する。ネトウヨ、ネット右翼がたくさんいる。Facebook革命の時代ということで、中東は国家が制御できなくなったが、ネトウヨの増加は、アメリカに安全保障を頼り、中国漁船の対応の甘さから出てきているわけです。こういった現状を両国のトップは懸案するべきです。まだ中国は鈍感。漁船だけではなく漁業調査船が尖閣を徘徊していて、このまま軍艦が来て占領されてしまうのではないか、と日本の若者は思っています。

日中ではシビリアンコントロールが異なります。日本はシビリアンコントロールがあり政府が軍を管理しています。中国は政治と軍は異なり、軍事に関しての決定権は軍人が強い権限を持っています。なかなか制御が難しい。問題が発生してもコントロールできないという状況になっている。問題はシビリアンコントロールで両国の政治家が話し合ったことが現場に反映されることであり、日本は力を入れて構築してきたところであるので、これからそういった仕組みをぜひ作っていって欲しいと思います。

松本:中谷さん、率直な意見をありがとうございます。軍事と統御は非常に大変な問題です。日本はちゃんとしているから平気で、政治家は軍事に触れません。東日本大震災時に、中国軍の病院船派遣を申し出たが、一言で断られ、理由説明がなかったことに海軍少将は怒っていました。事後、ちゃんと説明したらわかってくれた。日本の文民と中国の軍人の意思疎通の難しさがあると思います。

120702 s chin陳健(元中国駐日本国特命全権大使)午前中、福田さんが素晴らしい演説をしていました。中日両国の国交化正常化40年の際に原点に立ちかえなければならず、基礎を振り替えなければならないということでした。大道に立って問題を解決するべきです。これは素晴らしい。自分の意見の3つのうち福田さんと2つが一致しました。

相手を正確に認識しようということ。政治関係、政治信頼を築いていく。中日間のこれまでを振り返り、永久的に平和な関係を築こうというのが原点です。お互いに強力なパートナーであり、脅威にはなりません。唯一の選択氏は友好発展です。これからすると現在は問題がたくさん存在します。今までも将来も、日本を自分たちの潜在的な敵と中国が考えたことはありません。中日両国の経済体、GDPが逆転しました。この変化に日本はどう適用するか。アメリカが日本にアジア統治の役割を増やしていることをどうとらえるか。アメリカと中国の狭間でどうとるか。しかしながら、日本の方には頭を冷静にして、正確に隣国中国を見てほしいし、関係を築いて行って欲しい。お互いにお互いを戦略的なパートナーとして見てほしい。このような基礎を以て初めて、戦略的な相互信頼が成り立つのだと思います。

2つ目は、大同について複雑な問題を解決する。尖閣については、中日両国安定的な関係からすると、今すぐ解決はできない。のちの人に残して解決すべきで、この問題が両国の関係を脅かすなら、後世に託すべきです。ビンに入れてふたをする。漁船衝突がその蓋をあけてしまった。日本側の中国への好感度が下がったのも、ビンの中の悪魔の仕業です。どうビンに悪魔を閉じ込めるか。これは地域の平和安定を考える人が直面している課題です。この紛争という事実を変えることができないが、全世界に紛争地域だという認識を広める、日中間の好感度を下げる。極端なナショナリズムの影響を抑制するかを考えていかなければなりません。ナショナリストを消すのではなく、考え方を変えさせる。極端主義の声をかき消す。すべての日本の長期的な利益を考える人たちはぜひ声を上げてほしい。少数の声が聞こえないようにすべき。日本も中国もやっていくべき。政治的な雰囲気をつくっていく。

王:中日両国が今の関係の位置づけを見る。アメリカのアジア政策の影響を受けているという脅威。これが中日関係に悪い影響を与えています。小異を残して大同につく。複雑な問題はひとまず置いておくこと。共通の認識を以て棚上げすることです。

松本:アメリカがアジア政策を拡大し、日本もそこに巻き込もうとしている。アメリカ問題という取り組み方も必要なのではないか。では加藤先生にお願いしたいと思います。

120702 s kato加藤紘一(元内閣官房長官、日中友好協会会長):日中国交回復以来、天皇ご夫妻の訪中は大きな出来事です。官房長官として民族主義者を説得していました。天皇は上海蟹が好きですよ。中国の上海蟹より、東京で食べた方がおいしいから、それで口に合わなかったのでしょう。現場で食べたが微妙だった。


 


葉:
その当時は国内ではいいものではなかっただろうが、天皇にはいいものをお出ししたはずです。

加藤:まぁいいでしょう。ナショナリズムが強くなっているけど、日本には3種類あります。国境線や領土をめぐるナショナリズム。これを掻き立てれば政治的人気が出るが、いずれかは自分の身も滅ぼす。2つ目は、学力やGNPやメダル数などの競争のナショナリズム。これは健全です。3番目は、自国の文化や伝統に誇りを持つナショナリズム。これらが一番大事で、競争や争いは魅力を失うはず。日本は、自分たちの自慢が見えなくなっているからではないか。明治維新以来、脱亜入欧・富国強兵のグローバリゼーション一筋で、過去60年間、思想が止まっていたからよくない。仙谷さんに左翼かって呼ばれた人はどんな気持ちだっただろうか。民主党議員が保守派ですからって言っていた。

中国もいずれ陥る悩みです。グローバリゼーションで先進国の豊かさを追いかけてきたが、むなしくなってその先にあるものはなんなのか、となる。上海万博の中国館は何も魅力がなかった。30年前の日本と同じで、今の上海は空気が汚れ、魅力のない都市になっている。今はNYみたい。北京はそこに気付いたようで。韓国はグローバリゼーションの魅力にとらわれずに自分の国の魅力について考えている。日本も、民主党も自民党もまだ打ち出していないバナー、旗印を持ち出さないといけない。何も生きがいにするか。グローバリゼーションの代替を中国に先んじて考えるのが日本の役目。アメリカ問題には期待している。

松本:日本が先んじて近代化、先んじてグローバリゼーションの豊かさを手にした。中国も遅れて手にした。これは同じ方向性である。これからは、その先に何を求めるかを考えていくべきです。

 

親カテゴリ: 2011年 第7回
カテゴリ: 発言録