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【発言録】 メディア対話 後半

 

発言録 メディア対話 後半1日本側司会
木村 伊量氏(朝日新聞者西部本社代表)

 後半ではまず、前半での議論を含めて一人ずつ問題提起していただこうと思う。前半の議論では質の高い議論が交わされた。とくに、チャイナデイリーの朱霊総編集長が大変よいことをおっしゃっていた。報道の役割はタイムリーで深い、国民のプラットホームを作るのが目的。このことを胸に刻んで議論を進めて行きたいと思う。また、フロアの意見も聞き、活発に議論を進めていきたい。それでは、共同通信の会田さんより前半を総括して後半に繋げていただきたい。

発言録 メディア対話 後半2会田 弘継氏(共同通信社編集委員室長)

 議論を通じて大変興味深かったのは、ひとつは日中のメディアが共通する課題にぶつかっているのではないかということ。また、その課題の取り組みに対して、根本的な認識の違いがあるように思う。1つ目の共通課題には、メディアの商業主義というものがある。しかしこれは必ずしも悪いものではないのではないか。むしろ国家主義の方が悪い。Lesser evilと言う言葉があるが、メディアの商業主義というものは、国家主義に比べたらLesser evilなのかなと。また2つ目の共通課題は、新しいメディアの登場ということ。受け取る側と発信側が混在し、責任ある言論と無責任な言論が混在している。そのなかで、質の高い言論をどう築いていくか。これが課題だと思う。また、日中双方の根本的な認識の違いについては、双方の理解と尊重が必要。

発言録 メディア対話 後半3中国側司会
喩 国明氏(中国人民大学新聞学院副院長、教授)

 メディアの責任は重要。我々はメディア化された社会に生きていて、メディアの報道に頼っている。そのため何を報道するかが大事で、メディアには責任の問題が関わってくると思う。責任とは客観性が備われば果たされるとされる。ただ、私は客観性の中身の、重要度の違いもあると思う。CCTVの中で手紙が送られて謝罪するという事件があった。報道は過激な批判者の意見を聞いてしまうが、報道は過激な言説にとらわれないほうが良い。

発言録 メディア対話 後半4劉 北憲氏(中国新聞社社長)

 第一回での分科会は参加者が20人しかいなかった。でも、その後、中日関係に関心を持つ人が増えている。良好な関係は喜ばしい。中日関係のメディアの役割は、過大にも過小にも評価すべきでない。意見がどうなっているのかを正しく見るべき。専門のレベルにも関わるが、社会には純粋客観的なものはない。一つの事物には様々な考えがある。客観はあくまでも相対的なもの。過去5回のフォーラムでの議論を重ねて共通認識が生まれてきた。中日関係を多くの人が発展させるということを信じている。 

発言録 メディア対話 後半5原田 誠氏(日本放送協会国際放送局局長)

 私は今NHKで国際放送局を担当している。これまでは中国局局長を勤めていた。最近の放送局には、中国の地方の人々が訪ねてきてくれる。放送のことだけでなく、人事などのマネジメントなどを見学しに来る。我々はできるだけ中国人の考えを世界に伝えたいので、たくさんの取材をしました。一方、中国の立場を世界に伝えようという考えの下、CCTV(中国政府メディア)では六つの言語で世界に発信している。他にもCRI などは60の言語で世界に伝えていている。また日本向けの番組もある、さらに日本語放送も増える。この視点から見て、日本は国際報道面においてすでに負けていることが分かる。それでつい今年の2月に日本語チャンネルと中国語チャンネルが始まった。中国の皆さんに国際放送をどういう風に狙っているのかをお聞きしたいと思っている。そして、様々な情報を吸収して国民に伝えるが、できるだけ外国の放送を国民にそのまま伝えることができるのではないかという質問がある。

 

木村氏
(中国側に対して)今の問題も含めて説明していただければ 。

発言録 メディア対話 後半6馬 為公氏 (中国国際放送局副総編集長)

 三年前のことを思い出した。様々な異なる文化交流をするときに率直にあげることがきた。他方で変えようとしても変えられないものもあった。互いに学ぶことが重要であると思う。中国には、前半で小倉先生がおっしゃっていたような反日の感情はありません。一部の人が日本に対する偏見を持っていることはあるが、先生が問題にするほど深刻ではない。

喩氏
 様々な議論がある。情報は変化をし、全てを捉えることはできない。他方でメディアは大きく捉える傾向がある。それが行われるとその情報が主流になってしまう。それを意識することが大切だと思う。

発言録 メディア対話 後半7山田 孝男氏(毎日新聞政治部専門編集委員)

今回は六回目の出場となるが、今日は一番充実していると思う。インターネットというメディアは瞬時に情報を流せることができる。かわりに膨大な量が流されすぎて、内容が浅い。その情報の分析と解説にはプロのジャーナリストが必要だ。このプロ性はジャーナリストにとって本質的に大事なことだ。普遍的で本質的な問題である。例えば欧米でも起きているが、新聞社がばたばた倒産している。インターネットは身近な問題に拡大していくが、そうでないものに対しては絶え間なく解説していくプロが必要。世界のことを解説するジャーナリストが必要だと思う。

木村氏
 新しいメディアについて、今日はたまたま伝統メディアばかり来ているが、我々はどういう風にしたらいいのか。日中間にどういう風な認識をすればよいのか。今現在この会場の動きはすでにニコニコ動画で4000人ぐらいは見ており、ツイッターで反応があることからも、メディアの変化の大きさを実感する。状況がどんどん変わってきている。

 

喩氏
 新華社東京支社の劉浩遠さんよりお願いします。

発言録 メディア対話 後半8劉 浩遠氏(新華社東京支社副社長)

 「日本の相互理解とメディアの役割」でありますが、これについて二つのことを述べたい。一つ目は、どの国の報道・新聞も完全な自由ではない。法律・道徳を守らなくてはならないということ。二つ目は、政府、公共の団体に対する監督であると思う。受け手が世論による監督を通じて社会の進歩を果たす必要があると思う。中日双方のメディアは究極の目的のために頑張るべきだと思う。 

 

木村氏
読売新聞の飯田さんよりお願いします。

発言録 メディア対話 後半9飯田 政之氏(読売新聞東京本社文化部長)

 政治部にいると領土・安全保障ばかりを取り上げるのでなかなか日中の将来は難しいテーマだと思う。でも文化部にいると、明るい未来が見えてくるのではないかとも思う。世論調査のデータにより、中国の学生は日本の音楽、書籍、アニメから日本を知り、日本に対し非常に高い好感度を持っている。読売新聞にも、「環球時報」の15歳から19歳までの年代に対するランキング調査で、好感度を持っている一位が日本だったと掲載された。ただし、油断は禁物である。実際に過激な反発などの行動も起きている。また日本も問題があるかも知れないと考えさせられた。書籍・音楽・アニメから中国の情報を取っているひとはあまりいない。中国はもっと日本向けに、発信することが求められるのではないか。

喩氏
 実際上、日中関係で報道は大きな役割を果たしている。量的なものでいえば、お互いの認識なども大きな役割を果たしている。

発言録 メディア対話 後半10黎 星氏(中国日報者総編集助手、主席記者)

 娘はワンピースが好きです。娘になぜワンピースが好きなのかと聞いたら、彼女はこのストーリーにチームワークの溢れている人物、自分を犠牲にしても、団体のためならやりますというところが好きだといった。だからワンピースが好きだということはアニメの描くストーリーに共感できるということなのです。そしてこの人たちは、社会はこう発展してほしいという人だと思う。ここから、なぜ中国人のみんなは日本人が良いと言っているかということが分かる。報道は相対的なもので、最近の、レアアースの輸出を削減するという温家宝首相の発言に対する報道についてはCNN、読売、朝日では違う。誇張してはいけない。より広い範囲でのメディアを言うと、例えば、日本の書籍の多くも中国偏見を持ち、或いは韓流の韓国ドラマよりは日本ドラマは圧倒的に少ない。

喩氏
 私の知人の哲学科の教授が言うには、哲学の中では今まで前提としてきたものが間違っていることがある。人は理性で動くと思われているが、実際社会の中の99%は感情なのです。大切なことは交流を通じて、感情を伝える基礎を作ることです。

木村氏
 双方から短いスピーチが終わり、これはおかしいなという質問があれば。

中国女性(フロア)
 私は記者ではなく一視聴者ですけれども、先ほどのお話で日中の世論調査の改善は理想的ではないという話があって、私は長年日本に住んでいるが、日本での中国の報道やドラマは少ないし、日本人は内向きなのではないかと思う。表面的な報道が多いとも思います。例えば、日本企業が成功したという報道がありますが、必ずしも日本企業が成功したわけではない。

原田氏
 人それぞれで、一般論では、若い人たちがテレビや新聞など全然見ないという傾向があるが、興味のある人はその分野にかなり詳しいし、そう言うことができる状況にあり、両方いると思う。ただ日本は全体として自信を失っているという現状があり、内向きになっているとは思う。そのためにも国際報道などいろんな形でやりたいと。また表面的な報道だけでなく、NHKスペシャルのような意味の深い番組もありますし、深い報道を心掛けています。

会田氏
 日本の対中報道は薄いというのは誤解。2005年から2010年の量は増えています。外部報道の中心はアメリカと中国であり、3分の2あります。

木村氏
 それでは中国側にお聞きしますが、お互いはお互いのことをよく知らないということがあります。それはメディアを通すしか知らないが、これじゃどうすればよいのか。敬意を払いながら、厳しい質問をしてもいいだろうか。毒餃子問題について、中国と日本との間に、いろんな議論があったが、結果としては、中国のメディアは中国人にどのぐらい報道したのか。

劉(浩)氏
まず、中日間にはよくわかっていないことが多いと思う。過去に対する理解が多いと思います。日本の地方に対する理解は少ないと思う。ツイッターなどが使えるという理解が少ないと思う。

馬氏
 餃子については何回か話をしました。私は、中国で餃子の話が国内でよく報道されたのを伝えました。でも、もし中国では土砂災害や飛行機墜落事件などがあれば、かならずそっちに行きます。報道の規制はしていません。しかし、報道の立場は日本とは違うと思います。翻訳をしたときに落ちる情報があると思います。中国には日本のプリントメディアがあります。では、日本ではどうでしょうか。中国人と、日本の若い人、若い記者がもっと話して欲しいと思います。ただし次回、こういう質問より、より多くの若手記者に直接討論してもらったほうがいいと思います。

木村氏
 私の話に応えていない。餃子事件で中国人の対日観が作られてしまう。それを聞きたいんです。

劉(北)氏
 中国はメディア対話では、餃子の問題については話さないと伝えました。色んなところで質問をされます。しかし、日本の人たちは本当に知らないんだと話します。
 日本のメディアの報道が全面的な客観性がないんだと思います。興味があれば報道してもらえばよいと思います。経済などの交流が深まることによって好感度は高まると思います。

喩氏
 毒餃子事件に関しては、中国側メディアはすでに報道した。ただ問題となったのは中国政府の反応で、報道自身には問題はない。またもしみなさんは中国語が分かれば、そういうことが起こらないでしょう。

日本人記者(フロア)
 報道の選択という問題については理解できました。逆に過度の報道規制についてはどう思うか。

喩氏
 新彊で事件が起こりました。新彊に行って報道しました。現場で、日本の記者が危険な目に会いました。なので、報道しました。ツインタワー、残酷な死体などは報道しない。そういう規制があるからです。状況が異なれば違うのです。アメリカだって日本だってそうなんです。

原田氏
 餃子事件のあと、その後にトヨタ問題を抱えました。同じことを経験しました。トヨタ車のリコールが米国で取り上げられたとき、日本はちゃんと批判して報道した。消費者と生産者の問題だから報道をするんです。メディアの認識に差があるのではないか。

黎氏
 中国メディアは持続的に報道していました。ただしばらく報道しなかったのは犯人が捕まえられていない時。また中国国内では「三鹿食品事件」が起こりました。これも食問題で、中国メディアは厳しく取り上げた。日本側のメディアは発生したときは報道しました。司法調査を混乱させたくないので、報道が沈静化したのです。報道することによって、司法が混乱するのではないかと思うのです。しかし、粉ミルク事件は報道しました。まさしく、消費者の問題です。中国は大きい国です。影響が大きい。毒餃子、毒ミルクから、中国の食べ物はみんな危険ということは間違い。

馬氏
 中国で餃子事件の報道された量は日本の50倍。中国では段階的に報道しました。報道の取扱量が違う。中国の主流メディアは扱った。2回にわたって報道した。中国の報道は適切だと思いますし、逆に日本の餃子事件への対応が過度だと思う。日本の課題だと思います。日本と認識の差があると思います。日本は重く、中国はライトに受け止めます。人が死んでいるという理解も必要だと思います。また文化や国の発展段階にも起因する、日中間の認識の違いにも原因があるように思う。そういうところへの理解も必要です。

木村氏
 餃子問題は終わりにして、違う角度から議論してみたい。
 好感度について考えてみます。好感度が上昇したのはうれしいが、これは非常におぼつかないものではないかと思うのです。仮に、尖閣問題が緊迫する。靖国問題が顕在化すとる日中間が悪くなります。これを転換すること。このような、なんとなく、ふわふわした好感度を定期観測しているが、デリケートな問題が起こるとすぐ好感度に影響する、そういうことがどうにかならないだろうか。

喩氏
 中国はここ数年好感度が上がったが、インターネットで好感度が上がったというわけではない。それは日本の政治家がかなり努力し、それを中国も評価したのだと思う。極端な減少が起こるのは、政府や企業が一般大衆の提起にきちんと返答をせず、傲慢な態度によって対応したからこそ、そういう問題が起きてしまった。理性的に対応すれば、インターネットも沈静化するのではないかと思うのです。インターネットとは関係ないと思います。

山田氏
 日本の政治の世界でも、電話の世論調査がよく出ます。これは好感度調査ではないかという批判があります。非常に表面的ではないかと思うのです。かといって、好感度調査を行わないというのもどうかと思うが。今回は多くの中国人の記者の方がいらしているということで、ぜひ、通訳をつけて、靖国で軍服を来ている人が全てではないという現実の日本を見て頂くことが大事なんだと思います。

木村氏
 政治の問題が加わると変わるのか。

飯田氏
 さきほどある調査では若者の好きな国ナンバーワンというのがあり、好ましいが、中国の基本姿勢が反日であるという認識は広くある。

会田氏
 日本人の軍事的脅威の高まり、中国はどう認識しているのか、どのように報道しているのか。

劉(北)氏
 この問題は隣の部屋で討論すべき。

馬氏
 同意します。
 たしかに好感度は二つの要素、政治家の行動やあるいはある事件に左右されやすい。『おくりびと』という映画は人気がなかったが、若い人には大きな影響を及ぼした。『失楽園』、村上春樹などは私の息子が読みました。中国人は本や映画によって知っているのです。文化交流はやはり重要な一面であると思います。中国で日本の風が吹くことを祈ります。

高山氏(フロア)
 前半に中国側の先生で徐先生がメディアの相互理解を広げることが必要だと言っていたが、どういうふうに広げようとしていたのか、結局見えてきていない。徐先生から問題提起があってそのままになっているが。

馬氏
 理論ばかりで具体的なことを話していません。このフォーラムなどもいい交流だと思います。番組も始めましょう。共同でやりましょう。若い中国の記者が今回一杯来ているし、こういう機会を是非利用して欲しい。

中国人記者(フロア)
 中国の四川大地震のときに救援隊を送ってきてくれたことを報道で思い出しました。靖国の問題だけではなく生活に密着した問題に触れる必要があるのではないでしょうか。

中国人記者(フロア)
 日本は多元的な理解をしているが、一つか二つ、客観的な報道でないものがありました。Aさん、Bさん、Cさんの話をしますがみんな同じような話をしてしまいます。なぜ同じ意見ばかり出てくるんですか。もっと意見を載せてください。

原田氏
 四川大地震の時に現場で取材をし、現場に行きました。最初は自由な取材をすることができた。規制もなかった。本当に一人一人の被災者を、色々な角度で取材することができた。しかし2週間ほどたって、現地当局から小学校の建物の崩壊というものがあり、自由な取材ができなくなってしまいました。特に地方での取材は難しく、かなり制限がある。中国の市民が何を思っているか客観的な報道がしたいと考えているが、取材規制から難しいこともある。最近はずいぶん緩和されたようにも思うが。また、日本のメディアが一辺倒なのは、競争主義があるからだと思う。

中国人女性(フロア)
 私からもコメントをしたいと思います。客観的な報道を達成するためには、発展段階の上で大きな違いがあるということです。中国はまだまだ発展途上で、様々な問題に直面しており、沿海部地域と内陸部で大きな差があります。毎日のように問題が報道され、様々な解決に当たります。日本のメディアが中国の発展段階で批判をするが、日本の人たちは批判するが、私がしかし言いたいのは、自分達が発展したときの目を忘れてはいけないということです。

木村
 非常に良い意見だと思う。

日本人男性(フロア)
 中国メディアはどういうふうに日本を報道しているのか。というのも、日本のとあるビジネスリーダーが、日本の失敗の研究に熱心だと、日本バブルが崩壊したあとを研究することに注目しているが、それ以外は全部アメリカとの関係に目を向いていて、逆にそれだけだということを指摘している。とても残念だと思うのだが、そこで、日本のどんなことに関心があり、何を報道したがっているのか知りたい。

劉(浩)氏
 中日は近隣で、様々な切っても切れないつながり、関係がある。私自身は、一番関心を寄せているのは、経済です。日本と中国の発展の道のりに共通部分も多いので。昨年7月の毎日新聞で、たいへん素晴らしい警鐘が鳴らされていた。中国の置かれている状況と80年代の日本は一緒だと言われていた。

馬氏
 中国のメディアは多くの記者を派遣しています。最初に記者を派遣したのは東京です。去年、中国のインターネットで「10大国際的友人」ランキングで、中国の農村部を一村一品運動で助けてくれた日本の方、平山さんは当選した。

山田氏
 日本の報道が過剰だと言うことがあったが、毒餃子に関して言えば、日本では食品衛生上の安全というものがすごくセンシティブなものがあったから。また瀋陽領事館の脱北事件の報道では、中国の公安が日本の大使館に入るという映像が何度も流れたが、それは日本の主権の及ぶ領域に公安が入ったというセンセーショナルな映像であったから。つまり競争意識や功名心、日本人の琴線に触れる話題を編集者が潜在的にかぎ取っている、と言うことだからであって、反中バイアスがあるということではないように思う。

日本の学生(フロア)
 学生の中で中国に対して好感がないのは、メディアではなくて身近なところから来ているように思う。声が大きいとか、列に並ばないとか。それとメディアでの放送を加え、やっぱりそうなんやと思ってしまう。今後の日本は中国を嫌いでは生きていけない、だから好きになれるようにメディアになんとかしていただきたい。

日本人記者(フロア)
 共産党、公安部に対し、情報公開などちゃんと申し入れしているでしょうか。

木村氏
 先ほどから変化という言葉が出てきています。中国のメディアも変化してきています。次の時代にどのように変化をするかについて議論しましょう。例えば、インターネット人口の増加があります。お互いの社会をどう変えるのかという議論しましょう。新しいツールがどのように社会を変えるのかについて議論をしましょう。新たなメディアの出現によって中国の社会はどのように変わっていくのか、どんな見方をしているのかを聞きたいです。

喩氏
 これは具体的すぎる問題。新たなツールはあらゆる層に影響を与える。新しいものはあらゆるものに影響を与える。

劉(北)氏
 ニューメディアは様々な影響を与えます。私はニューメディアとその他のものに壁を作ることには反対です。これらは融合して存在し続けると思う。

中国人記者(フロア)
 全体の議論において、印象が深かったのは基本的に断片的な物で全てを理解しようとしているということであります。そこに責任がどうあるのかということであります。現状において日本のメディアにどういった反省点があるのか。

飯田氏
 ここにいる各社、今後のメディアについては模索中であると思います。グーグルの出現でジャーナリズムは衰退に向かっています。紙の媒体も厳しい。その中で大きいのは中国からグーグルが撤退したということです。基本的には情報の検閲はやめるべきであるというのが基本線ではありますが、資本主義の国のあり方としてどうなのか。この点から、中国側の対応にも見るべきものはありました。

喩氏
 今日、私たちは相互理解を目的に集まりました。私個人として提言をします。それは、自らの価値観で判断してはいけない、それを強制してはならないということでした。自分に厳しく他人に優しくすることが大切です。

中国人記者(フロア)
 こんにちは、私は中国の中西部から来ました。日本からボランティアに来た若い看護師がいます。私たち現地のメディアが知って取材をしましたが、同じ時期に、トヨタ事件がありましたが、私たちは看護師の報道をし続けました。(トヨタばかりに注目するのではなく)

劉(北)氏
 本当に良いテーマでした。両国の国民で信頼を高めるためにはメディアが意図的に相互信頼を高める必要があります。両国のメディアが不信にあふれていれば埋まりません。グーグル事件について、日本側の報道は全面的ではないと思う。日本はグーグルが中国市場を撤退したと知っているが、ただ実はグーグルはその中の最も利潤の上がらないネット会社を中国市場から切り離した。グーグルネット会社以外、他のグーグル会社はたくさん中国に残っています。だから、ジャーナリストのモラルとして、お互いを信頼しあうことが大事だ。

日本人記者(フロア)
 インターネットは技術の問題に過ぎないという馬さんの見解があったが、それは技術の問題に留まらないと思う。既存メディアの報道に人びとは物足りなさを感じているし、またニューメディアは既存メディア後追いという事実もある。

馬氏
 私もそれには賛同する。通訳の問題で上手く伝わらない部分もあったと思うが、私から言えば、ニューメディアと伝統メディアというのは判別できないのではないか、つまり、言いたいことは、二つを別物と見るべきではないのではということです。

木村氏
 時間が来てしまったが、今日は皆さんに心から御礼を申し上げる。近ければ近くなるほど本音で議論できる。

喩氏
 私も、木村さんの意見に同意する。私たちは皆友人で、だからこそ率直に意見が言えると思う。中国と日本にとって一番いい時代だと思う。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録