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「外交・安全保障対話」後半部では、前半部のパネリストに加えて、日本側は長島昭久氏(防衛大臣政務官、衆議院議員)と高原明生氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)が出席しました。基調報告は長島氏と呉傑明氏により行われ、司会は呉寄南氏にバトンタッチされました。
冒頭、長島氏は日本の防衛政策は(1)平和主義、国際協調主義(他国に脅威を与えない)、(2)非核三原則、(3)厳格なシビリアン・コントロールが基軸であり、その上で(1)自国の自助努力として実務的な抑止能力の保持 (2)同盟国である米国に核抑止力を依存 (3)国際社会との協力推進を政策課題としていると説明しました。特に抑止力という意味では、装備面だけではなく、自衛隊の日常活動を通じてスタティック(静的)なデタレントではなく、ダイナミック(動的)なデタレントを能動的に希求していきたいとし、「平和創造国家」として、積極的に紛争の芽を摘んでいくと述べました。
次に呉傑明氏はアジアで影響力を持つ中国と日本は平和と発展を求める国際的な潮流を認識するべきであり、また、複雑多様化する現代の問題に協力して対処するために、歴史問題等両国の関係を阻害する要因を取り除き、信頼関係を構築することの重要性を説きました。安全保障面での中日関係のあるべき姿として、迅速、正確かつ客観的に相手国の防衛政策を把握する必要性を指摘。防衛政策に関する相互理解を深めるべく、中国としても(軍事面に関する)情報の透明度を上げる努力をしていると主張しました。さらに、安全保障面における両国の協力を強化するために、軍事情報交換メカニズムの構築、軍幹部(特に青年)の交流を進めるべきとの提案がありました。
後半の最初の議題として日本側は急激な軍備増強(とくに海軍の活動がより攻撃的色彩を強めつつある)が進みつつある中国に懸念を表明しました。これに対して中国側は、経済が発展するにつれて軍備が拡大するのは当然で、急激に軍備増強が進んでいるとは思わないと反論した。さらに中国の軍備費はGDP比の2%以内に抑制しており、国際的に平均的な数値(2%~4%)であり、経済を犠牲にして軍備を増強しているわけではないことを強調しました。
高原氏が中国のメディアで最近軍事に関して刺激的な言説の掲載が増加しているのはなぜかという疑問に対して、中国側の呉氏は、近年は政府によるメディアのコントロールが緩和され、退役軍人が自説を展開しているに過ぎないと説明し、中国としては東アジアの平和の安全と維持に全力を尽くす意向だと述べました。
次に、長島氏は中国の潜水艦や船舶が日本の領海に無断で侵入したり、沖縄周辺を度々通過したりしていることを指摘しました。これに対して中国は過去に領海に侵入した件は機械の故障が原因であると釈明した。さらに沖縄周辺の度重なる通過に対しては、中国が公海に出るためには沖縄を通過する以外に航路が無く、国際法上正当な手段であることを主張しました。
また、日本側は近年空母の建造計画など中国が海軍の増強を重点的に行っていること、またその活動範囲を黄海、南シナ海、さらには東シナ海にまで拡大しつつある現状に強い危惧の念を表明しました。それに対し、張氏は、中国は米軍に対抗し覇権を求めているわけではなく、海上輸送の安全性を確保するための行動であり、シーレーンの確保はエネルギー・食糧資源の確保のために、中国にとっても重要な使命であると反論しました。
後半部では特に軍事の透明性について日中双方から活発な意見交換が行われました。日中両国の信頼度を高めるためには両国の安全保障政策を理解することが必要であることに両国は合意し、軍備の透明性に関して、中国側のパネリストの呉傑明氏は国防白書を通じて軍備の透明化を近年進めていると主張した。これに対して、長島氏は中国の国防白書に主要装備品の調達度が記載されていないことに触れ、中国は未だに透明性が不十分であると批判しました。この批判に対して、中国は透明度には戦略的意図の透明、軍事力の透明の二つがあるとし、軍事力の透明性については全部公開する必要はないと反論し、戦略的意図を表明すれば透明性は十分確保できることを主張しました。
中国の透明性について日本側のパネリストの方々が不満を示す一方、藤田氏はハイチで大地震が起きた時に中国が迅速に人員を派遣し救援活動を行ったことを称賛し、日本も迅速かつ積極的に国際貢献を行うべきであると述べました。国際貢献に関し、長島氏や添谷氏は、日本は積極的に平和レジームを構築する平和創造国家を目指すべきであるとの提言を行いました。
最後に胡氏は、日米同盟は冷戦時代の産物であり、日本が「おもいやり予算」などで、在日米軍の維持費など過度な財政負担を余儀なくされているにもかかわらず日米同盟を維持しているが、日本は今後日米同盟がどのように変化するかと思っているのかと質問を提起しました。これに対して長島氏は基本的には日米同盟を堅持する姿勢を示し、さらに日本の安全保障を語る上で日米同盟の存在は外せず、今後ますます重要になってくると述べました。
以上で議論が終了し、若宮氏より今回の討議は「円卓方式」を採用したこともあり、一方的な演説大会にならず、忌憚のない意見交換により、違いを含め相互理解が格段に進んだと総括し、後半の「外交・安全保障対話」を終えた。
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