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「第12回東京―北京フォーラム」は、2016年9月27日から28日まで東京で行われ、政治、経済、安全保障、メディア、交流の分野をめぐり両国が直面する課題や協力のあり方について、踏み込んだ対話を行った。
すでに両国は、G20の首脳会議を踏まえて様々な協力に向けて検討を始めている。私たちは、それを推し進め、両国の困難を乗り切るために努力する。
私たちは、「民間対話」には政府間の困難を乗り越える特別の役割があると考える。その役割はこれまでになく重いものとなっている。私たちが合意したのは、このアジアの将来で両国が目指すべき理念は「平和」と「協力発展」であり、民間レベルでの幅広い交流である。
その実現のために、5つの分科会で以下の議論を行った。
一、 国際環境に大きな変化が生じている。日中関係は難しい時期にあり、対話と交流を深めることは、両国の将来やこの地域の平和にとって極めて重要である。私たちは歴史を大切にしつつ、両国民間の長期にわたる相互信頼を築き上げるために、努力する。
二、 私たちは、日中両国の経済を話し合う中で、両国は構造問題等様々な問題を抱えていること、その解決は喫緊の課題であることを確認した。日中の経済貿易協力関係を発展させることは、極めて重要である。その上で、民間企業の協力については、両国の様々な分野で実現可能であることが話し合われた。民間企業の協力を通じたアジアへの貢献では、インフラ投資のもつ意味が大きく、今後この分野で民間の協力を推進していくことが確認された。
三、 両国は、現段階においては不測の事態の回避のため、危機管理メカニズムを早急に完成させる必要がある。私たちは、日中両国政府間で協議されている「海空連絡メカニズム」の早期運用開始を強く求める。
この地域において平和を保障するどのような秩序を作るかについての議論を深めるため、「東京―北京フォーラム」の中に常設の安全保障対話の場を設けることとした。
四、 私たちは、国民感情の変化に対してメディアがもつ大きな影響力を再確認し、国民感情の改善に向け、客観的報道に向けた努力や、有益な取材報道等で協力する。その際、若い人たちが活用するニューメディアがもつ潜在力を発揮するように努力する。
五、 両国は、相手国民に対する感情の悪化が、国民の交流を阻害し、それがさらに感情の悪化を招く悪循環に陥ることのないよう努力すべきである。そのために、自発的で継続的な民間交流を量・質ともに完成させ、特に、若者の相互交流の活発化を目指す。観光・留学・雇用を通じた交流は有望な発展分野であり、これをさらに戦略的に推進することの重要性を確認した。
日本と中国は、来年には日中国交正常化45周年、再来年には日中平和友好条約締結40周年を迎える。それを見据えて、私たちは両国の新しい未来に向けて具体的な一歩を踏み出そうと考えている。私たちは両国間には様々な意見の違いがあることを認める。その違いを認めた上で、平和と協力発展のために対話を継続する。
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