. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 第5回 北京-東京フォーラム 分科会 政治対話11月2日速報記事(後半)

政治対話(後半)⑤

学生:

 日本の対中政策について困惑しています。中谷先生に伺いたいのですが、政権交代によって、日本は戦略的なチャンスを逸し、朝令暮改によって信頼を喪失しているのではないでしょうか。

学生:

 アメリカの影響をどのように排除するのでしょうか。

学生:

 中国の歴史教育では、非常に生々しい描写もあります。歴史問題も大事だが、未来のほうがもっと大事です。中国政府はもう少しこれを改善できないのでしょうか。

学生:

 笹木先生に伺いたいです。もし先生が防衛大臣だったらどうしますか。民主党は「対等な日米同盟」と言っていますが、対等とは何なのでしょうか。憲法第9条をあらためて相互防衛、軍事同盟に変わるということでしょうか。それとも他のやり方で対等になるということでしょうか。さらに、もし日本がアメリカの対等なパートナーとなったら、どうやって日本の国を守るのですか。外交でしょうか。それとも他の手段ですか?

笹木氏:

 政権が代わって、日中間の友好関係の積み重ねがなくなるのではないかという質問でしたが、安心してほしいと思います。誰もが、日中関係を自民党時代よりもさらに強くしなければいけないと考えています。さらに前に進むと期待してほしい。アメリカとの関係についてですが、民主党はイラク戦争に反対し、撤退の提案もしてきました。しかし、日本には自ら情報を得るという点が足りない。アメリカに対して、必要以上に依存してきたのです。情報力については自衛のためにもアップしないといけないと考えます。
 北朝鮮についてですが、その脅威を小さくできれば、日本の軍事力を小さくすることはできるかもしれないと思います。しかし現実には、自衛力を自前で持つということは当然考えなくてはいけないと思っています。

呉氏:

 ネット上の意見、新聞の意見などは多様化しています。ですから、その変化という大きなトレンドです。多元化すれば政治性がなくなるというロジックには問題があります。鄧小平氏から胡錦濤氏まで、いろいろな摩擦がありました。しかし鄧小平氏は、共同利益のほうがより大きいという態度をとり、中日関係を発展させました。
 アメリカについてですが、私はいつも、開放的な地域主義について話すことにしています。アジアは世界を、世界はアジアを必要としています。開放した地域主義は必要です。EUの加盟国は6、9、14、24カ国と増加しました。アメリカによる影響の単純な排除ということであれば考え直さなくてはいけない。排除は非現実的です。関係をうまく処理しなくてはいけません。それは排他的な共同体ではないのです。排他的な見方で世界を見てはいけません。

欧氏:

 今回の衆議院選挙の前に、世襲議員は自民党の40%を占めていました。もうひとつ、日本は終身雇用制をとっていましたが、いまは40%が非正規雇用です。財閥を通じた支配が利かなくなり、伝統的な支持者がいなくなったわけですね。

司会:

 時間が迫ってきました。一人一言でお願いします。

学生:

 将来、中国と日本が直面すると思われる問題は何でしょうか。それから、歴史問題以外の不利な問題は?

学生:

 日中関係について、鳩山政権にはどのような積極的な意義があると思いますか?

学生:

 共同の船舶護衛について、その困難さはどこにあるのでしょうか?

学生:

 日本のイノベーションなどについて、企業個人がどのようにイノベーションをするよう奨励されているのですか。

欧氏:

 在日外国人に参政権を与えるかどうかという点についてはいかがですか。

渡部氏:

 国政は無理です。しかし地方に長く住む人について、地方参政権を与えるべきではないかという話はあります。
 それから安全保障ですが、「アメリカから派遣の要請があったら断われ」と小泉純一郎元首相にずっと言っていたのですが、どのような事態になろうとも、日本と中国が世界のために尽くすということを考えていれば、世界は発展します。

中谷氏:

 ソマリア沖については警察行動であり、集団的自衛権の範囲内です。中国も認めています。
 それから日本の政策には3つの柱、「国連重視」、「日米同盟」、「アジア重視」がありますが、これは力のバランスを考えたもので、崩すべきではありません。しかし国連が現実に機能しないなら、現実的な対応を取らないといけない。日米同盟については慎重な対応を政府にお願いしたいと思います。
 それから今回の選挙結果は、自民党への「不満」、民主党への「不安」の表れということでしたが、次の選挙の我々のスローガンは「政権交代」ということで、頑張っていきます。

笹木氏:

 これから日本の新政権では、東アジア中心で新しい政策が出てきます。このような活動に参加することが、皆さんにできることではないかと思います。学生に対してこれからも直接語りかえることができればと存じます。

渡部氏:

 岡田外務大臣の父の会社の利益の1%を、日本の外交における友好行為に使いたいという素晴らしい活動が行われています。

松本氏:

 「日中がこの10年で衝突しうる問題は」という質問について、一番大きなのは歴史認識の問題だと思います。日本の学生は、第2次世界大戦は中国との戦争というよりは、アメリカとの戦争という認識が強いわけです。よって、日米同盟を強化しなければならないと言われています。
 私は民主党の新人議員に対し、日本の近代史について、どこで失敗し、しかもなぜ忘れてしまうのかということについて教えることになっています。しかし議員が140人となると、これをまた新しく教育しないといけない。すると日本全体の歴史認識もだいぶ変わるのではないかと。これは私の責務だと思っています。

趙氏:

 時代は、中国と日本のこのような客観的歴史化を求めています。歴史は歴史であって、憎しみではない。歴史を憎しみと記憶してはいけないと思います。私はこのようなことを中国の学生に対して講演しています。

呉氏:

 若い人々の相互交流が一番大事だと思います。アジア、日本をもっと知るべきです。小中高生はみな日本の良いところを見ていると、学校の先生は言っておりました。今後10年の問題に対して、我々は世界を正しく見なければいけません。アジアの復興というのは全人類にとって大きな貢献であり、それには日中の友好が不可欠です。

陳氏:

 包括的な視点を持つことが大事です。いま中国はトップランナーかもしれませんが、我々はともに前進できる余地があります。

 

 

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