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次のセッションは学生とパネリストとの議論になります。簡潔に、まとめてゲストに聞いてください。それでは質疑応答の段階に入ります。
日中両国には大きな差がありますが、共同体を構築するにはもっと大きな困難が伴うのではないのでしょうか。どこかの国の利害が阻害されるのではないでしょうか。
東アジア共同体の構築という夢ですが、そのためには人材が必要になります。中日双方にとって、どのように人材の交流を考えていますか?
EUにはさまざまな条件がありました。ソ連や冷戦の存在など。このモデルの適用性をどう見るかです。それからEU統合では主権の譲渡がありましたが、それは現実的でしょうか。領土問題も残っています。
日中間での様々な摩擦などありますが、フランス・ドイツと比べると、戦争の回数などを考えると、日中の比ではないと思います。しかし、それでもEU共同体は完成しましたから、アジア共同体には共同のテーマ、プロジェクトをまず持たなければいけませんね。まずはシミュレーションなどしなければいけませんが、来年更に具体的に対策が練られるでしょう。人材については、日本では太陽光発電などの技術は飛躍的に伸びていますが、そういったプロジェクトに中国の人が関わっていくことで、その他の国も巻き込んでいくということが重要だと思います。
尖閣諸島などの問題から、もしかしたら戦争に繋がることもあるかもしれませんが、そういったものの解決のためにアジア共同体があるのだと思います。アジアには神道、仏教、イスラム教、儒教などありますが、宗教戦争というものはアジアではほとんどありません。インドにいけば、イスラム教とヒンドゥー教の建物を同時に見ることができます。日本では金比羅様がいますが、これは元々ヒンドゥーの神様です。これが今では日本の神道となっています。そういったものは東アジアの共通性だろうと思います。イスラム教もマレーシアなどに行けば、原理主義的な考え方とは少し変わりますね。
こういった文化的な共通性がインド、日本、中国にある。歴史を探ることによって、我々のなかに共通点があるということを考えるべきだと思います。我々には共生する、山の上と下が共生するという文明の理念がアジアにはあるというのが私の説です。
アジアと欧州の比較について。独仏が1000年にわたって戦争をしました。欧州の歴史をみると、紀元800年ごろには統一していました。独仏の大きな戦争は23回。50年に一度です。独仏が平和に向かったのは、度重なる戦争に伴う、非常に深い憎しみがあったからです。日中についていえば、2000年の友好と50年の対立と言われています。確かに50年は対立しました。しかし、東アジア共同体の成立は十分にありうると思います。
次に第2点について、東アジア共同体は鳩山首相が言い出したのではなく、ASEAN+3で合意されています。共同体の構築は中日双方の利益であること、そして10+3の首脳がまた、合意したことです。これは歴史の流れにマッチする、必然の成り行きだと申し上げたい。3点目として、着々と少しずつ共通利益を見つけて、それを発展させ最大化する。これが構築のプロセスでしょう。
付け加えると、構築にはかなりの時間がかかります。第二次大戦の終結間際に、欧州の知識人は高い見地から歴史を先がけて欧州共同体という理念を打ち上げ、徐々に発展させてきました。このプロセスは「棚ぼた」などではなく、まさに人間が創造するものだということです。このフォーラムの意義は何かというと、中日双方の有識者が若者と語り合うということです。若い人たちに、アジア諸国が一緒に発展するにはどうすればいいのかを考えてほしい。アジアが良くなるということが、世界が良くなるということなのです。
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