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経済分科会の後半部分は、「日中の民間協力について」というテーマで、中国側の樊氏より基調報告がありました。
樊氏は協力分野について、世界の経済情勢は芳しくなく、各地で反グローバル化が進んでいる一方、各国がそれぞれ経済発展を推進していくことが重要との見解を示しました。特に、グローバル化の推進と自国の利益保護をいかにバランシングするか、ということを考えていくべきと指摘しました。
次に日本側の基調報告者である槍田氏は、総合商社の観点から、日中の民間協力や日中間の経済協力についてなぜ思うように進まないのか、どうすれば加速するのかというテーマで問題を提起し、政治が阻害要因であるとの見解を述べました。特に2012年の尖閣問題を契機に協力案件が少なくなっていることに懸念を示しました。また、中国の海外協力は国策がらみだという思い込みが日本企業にはまだまだ残っており、企業間の情報交換の重要性も提起しました。そして、第4次産業革命など新しいビジネスチャンスでも日中は協力できるとした上で、知識人が協議することで視野も広がるであろうと締めくくりました。
中国側二人目の報告者として、石氏よりITの分野から日中の経済協力に関する説明がありました。中国におけるIT分野の発展は著しく、日本でも注目されており、日本製品もEコマースを通じて中国で売買されるなど、具体的な協力案件が提示されました。中国の中間層は3億人と巨大マーケットになっており、今後日本の財・サービスを中国市場に浸透させ、日中相互にWin-Winな関係を築くことができると強調しました。
日本側二人目の奥氏より、日中の経済協力の具体的な分野として、環境問題とフィンテックについて言及がありました。環境問題について日本企業は優れた技術を持っていることから、中国市場の需要を取り込むチャンスであることに加え、中国では構造改革を行うチャンスであるとの認識が示されました。また、フィンテックについては、利用者の便宜だけでなく、新たな市場を生み出す創新卓越という一面もあることから、日中間でも積極的に協力していきたいとの指摘がありました。
中国側三人目の臧氏からは日中の民間協力のメカニズムについての提案があり、未来志向で長期的な関係を築き、実力のある企業同士が手を取り合う必要があるとの指摘がありました。中国企業は日本の企業の先進性を真摯に学ぶべきであるとともに、共同での産業基金の創設などアフリカの発展を共同で手助けできるとの認識が示されました。
日本側三人目の森氏は自社で行う世界主要都市に関する調査結果を元に、日中双方の都市が抱える課題について言及しました。具体的には、東京は海外へのアクセスの悪さがあげられ、上海・北京は経済・社会の自由度が低いこととなどが解決されるべき課題として提起されました。また、日中双方が共有する問題として、どのように都市機能、イメージを高めていくかという点については、高齢化・環境を重視した都市整備を進め、先端技術・コンテンツ力についても向上していく必要があることを強調しました。
後半部分も基調報告を踏まえ、日中企業間で協力できる分野について更なるディスカッションが行われました。
李氏は日中の共通の問題として高齢化を取り上げ、介護サービスの相互協力の必要性を訴えました。日本側からも、守村氏より、ヘルスケア部門は、人材育成や制度といったソフト面、商品といったハード面の両面から、日中で協力を深めていく機会があるとの共通認識が示されました。
中曽氏からはフィンテックにおける日中協力の重要性が語られ、広大な市場を持つ中国とノウハウのある日本が協力することには大変意義があるとの認識が示されました。中国側からも、張氏より中国におけるIT投資は年々増加しており、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスがあるとの指摘がありました。
また、日中企業間の課題として、山口氏から日本企業と中国の民営企業の間での合弁のハードルが高いのはなぜか、という問題提起がありました。
これに対し、程氏より、中国の民営企業は歴史が浅く、信頼関係が薄いことを背景として指摘しました。加えて、日本企業と中国の民営企業の間での交流の機会を増やすことを通じて、信頼関係を構築しようとする取り組みも徐々に見られつつあることが報告されました。これに付け加えて、魏氏は訪日団のトップのほとんどは政府関係者で、日本もこの現状に慣れてしまっているが、今後は民間出身者が訪日団のトップを務めるべきだとの見解を示しました。
また、AIIBは中国が利用するための機関ではないかと日本からよく指摘されることに対して、樊氏は他の国際機関と同様にAIIBのプロジェクトは全て入札を通して実施しており、排他的ではない点が強調されました。この点に対して、河合氏より同意が示されるとともに、AIIBの人員不足を補うために日本人専門家を雇用してはどうかとの提案がなされました。
後半でもパネリストと会場との間でディスカッションが行われ、知的財産権等への安心感があれば日本から中国への投資が増えるのではないかという提案がありました。これに対し、張氏は中国におけるR&D投資は増えており、知的財産権の保護にも政府は積極的に取り組んでいることから、海外からのR&Dを目的とした対中直接投資が増えているとの指摘がありました。また、日本企業が中国企業からの撤退が難しいと思われていることについて会場から指摘があったことに対し、樊氏より中国政府はルールの透明性をより高める必要があるとの認識を示しました。
四時間に及ぶ経済対話の締めくくりとして、魏氏から、今回の経済対話では、①問題点が何かという点だけでなく、解決策まで提示できたこと、②日中双方でコンセンサスに達することができ、偏見のあったメディア情報への是正についても認識できたこと、③協力のロードマップを描くことができ、問題を分析・定義・研究することができたこと具体的な成果であり、過去の経済対話に比べてよりレベルの高いディスカッションができたとの総括がありました。
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